46話
魔力の高まりを感じた昇と仮面が全く同時に跳び退る。空間そのものが何の前触れもなく爆発した。衝撃によって周囲の窓ガラスにヒビが入る。昇は咄嗟の判断で階段の下に逃れ、仮面は法衣を翻し、風除けにする格好でこの攻撃を防御する。鈍い振動が収まると、昇は素早く階段から姿を表し、
「……くっ!」
すでに殺人鬼の姿はない。視線を横に移すと開かれた窓から突風が吹き付けてくる。昇は窓際に駆け寄り、下の情景を見下ろす。
黒き世界に浮かぶ白い仮面。両端が吊り上がった口と、目尻が垂れ下がった線で象った眼。それは昇を助けたことで浮かんだ安堵の笑みか。あるいは、獲物を追い求める残酷な嗤みか。
仮面は法衣を風になびかせ、疾風の如く校外へと駆けて行った。
昇はすでに姿をくらませた殺人鬼が去った通路と、仮面が去って行った窓を交互に見つめている。
「……相当メンドイ事になってきたな」
ぼそりと独白する昇を、一匹のカラスが不気味な眼光を宿して見つめていた。