47話
「……寝足りねえ……」
額を押さえつつ昇は起床する。カーテンで外界と隔絶されている部屋に日光は洩れてこない。ざっ、とそれを取っ払うと、日の光は……今日は曇り。昨夜の天気予報では晴れだと予報していたのに。
気を取り直して窓を開けて小鳥の囀りを……聞こえてくるのは自動車の排気音。ならばせめて春の朝独特のあの香りを……匂って来るのは車の往来で充満している排気ガス。
「……く、くそったれだな、今日は」
はあ、と息をついて窓を閉める。
あんな突拍子もないことがあったせいか、昨日は布団に倒れ込んだ途端に、それこそ泥のように寝入ってしまった。
昇の部屋は、綺麗、というには物品がなさすぎた。
六畳間のアパートにあるのは引いてある布団と食事を取るために必要な小型の折り畳み式テーブル、畳の上に申し訳程度に置かれたCDラジカセ、巨大な本棚とそれに収められている多種多様な本。
台所の脇に置いてある冷蔵庫の中から、冷凍しておいたご飯を取り出し、レンジでチン。サランナップに包まれたご飯を茶碗に転がす。ホカホカと湯気が元気良く部屋に昇り始める。次いで冷蔵庫から賞味期限が少々切れた納豆を取り出し、箸で乱雑にかきまわした後に、適量の醤油をそれにかけた後、一気に納豆をご飯に落とす。