50話
「この怠け者!」
「そうだよ、俺はメンドイこと、嫌いなんだよ。何を今更」
「授業を受けるのは生徒として当然だろ!」
「誰がそんなの決めた? 先公か? お役人さんか? うん? 大体タル過ぎるんだよ、あいつ等の授業は」
う〜、と司影は駄々っ子のように唸る。
今は丁度お昼時。持ち直した天気は予報どおり晴れた。燦々と輝く太陽は、この春に晴天を彩っている。
そして、その太陽に負けず劣らず、
「異様に人が多いな、あそこ」
「……そうだな。ここだっけ? 窓ガラスにヒビ入ったのって?」
「うんにゃ。聞いた話じゃ二階の東側だろ?」
「だよな」
聞いたんじゃなくて、ヒビ入った瞬間を実際に見たんだが。その言葉は心中に押し込め、昇は眼前の光景に軽く口笛を吹いた。
何故か学食は出入り口前で詰まっていたのだ。学食は確かに昼時は混むものだが、入り口前で混むなど前代未聞。
今日は何か特別なメニューか、割引された品があるのだろうか。
「うん?」
いきなり前が進み始める。
「なんだなんだ?」
戸惑いつつも二人は歩を進める。学食に向かっていく列の中で、二人はどうして入り口の前だけが異様に混んでいるのかがわかった。
「昇、あれ」
司影が顎をしゃくった先には、一人の女子を大勢の学生が囲むという光景があった。リンチという、物騒な雰囲気はない。