51話
その女子はどこぞのセーラー服を着ている。私服通学が許されているこの高校で制服を着ているのは、昇の隣りにいる変わり者の女子以外はいない。という事は、
「転校生か」
何気なく呟いてみたが、それだけであの人だかりは出来ない。しかし、その理由を昇はすでにわかっている。
ありえないのだ、その容姿が。まるで彫像のように整っている。
ハーフなのか、エメラルドを思わせる青い双眸、程よく上向いた鼻梁に小さめの口が色白の細面に収まっている。腰まで伸ばした栗毛色のロングヘアーと、小柄な体が他者にその印象を柔らかく感じさせる。
……絶妙のバランスだ……
「イタッ!」
彼女に見惚れていると、足の甲が何かに踏みつけられた。司影の踵がグリグリと昇の足を捻り回している。ムッ、とした表情で足を踏む無礼な女を見返したのだが、それ以上に司影は眉を吊り上げて昇を睨んでいた。思わず昇の方がウッ、とうめいた程だ。
それでも昇はわざとらしく視線を逸らし、ウホン、と咳払いした後に、
「……なにすんだ、お前」
「と、とりあえず、彼女、困っているようだぞ」