59話
夕焼が窓から差し込み、大きな影が教室に浮かび上がっている。
赤い情景はどこか血を連想させ、そこに漂う白い雲は哀れな犠牲者のようにも見える。どうしてそんなふうに見えるのだろうか。
「……最近、あの頃の夢ばかり見てるからか?」
むくりと机から上半身を起こした昇は時計に眼を向ける。
四時半。すでに放課後だ。
「……午後はほとんどぶっ通しで寝てたのか」
色々な事が起こり過ぎて、かなり疲れている。
頭を振り、これからすべき事を思考し、昇は部室に赴くべく立ち上がり、戸を引いた。
眼前には頭一つ昇より大きな影。
「字さん?」
「いましたか。丁度良かったです」
昇としても丁度良かった。彼には聞きたい事があったのだ。場には司影もいないし、丁度良い。
「字さん。昨日の八時頃、どこで何をしてました?」
緊張したのか、昇の声は微かに上擦っている。
昨日の昼食時の、魔術に対する見解。よくよく考えてみれば、あれは出来過ぎだ。相手に本当の知識を与えるのを避けるために、わざと虚偽を含んだと考えれば?