36話
「親と子ってのは似てるよな。性格とか、癖……双子なら容姿までそっくりさんだ。すっげえ似てるよな、それこそ瓜二つ」
「……それが?」
「遺伝子は、どうだろうな。他人様よりは相当似てんじゃねえのか」
「……おい、まさか……」
司影は息を呑み、
「まさか、遺伝子の似通った奴が『類感』するってお前は言いたいのか?!」
「声が大きい」
しかめっ面で昇は声が上擦った司影をたしなめるが、
「で、でもよ、人間の個別のDNAなんてそれこそものすごく小さな違いなんだろ? 猿と人間だって一%しか違わないって」
そんなものはお構いなしに、彼女は食い下がるように大声を出す。
「だが、全く同じDNAは双子以外一つとして存在しないし、その塩基配列から親子である、っていうふうにも割り出せる位には似通っているんだぜ。『形の似たものは、相互に影響を及ぼしあう』だろ? 外見じゃなく、遺伝子の形で、しかも滅茶苦茶似通ってなきゃ類感しねえけどな」
ほら、どうよ、と素っ気なく昇は答える。
「時間だな。俺はそろそろ行くか」
そう言って昇は席を立つ。
「ま、待てよ、おい!」
昇を追う形で司影も椅子から立ち上がる。