40話
それを口にしている途中で昇は一つの事に気付き、焦るように司影に視線を飛ばす。
「昨日、あの後、何か、あったのか?」
出来る限り焦りを出さないよう言葉はゆっくりと発せられたが、逆にそれが昇の焦燥をくっきりと浮き彫りにしてしまった。その証拠に、彼の顔色は悪い。
「……変な夢見た。オレは上も下もわかんねえあやふな所にいてさ……もう少し、もう少し、って声が聞こえてくるんだ。それで足元から真っ黒な手が出てきて……」
その恐怖を思い出したのか、司影は唇をキュと閉じる。
「……わかった。今日にでもあそこには確認に行く予定だったんだ。安全を確認したいから、お前も来いよ。離れているよりも、側にいる方がまだ対応しやすい」
「……ああ……悪い」
途端に話題は深刻なものになってしまった。何事もなければ良いのだが。
……メンドいことになったかもな。
ぼそっ、と険しい表情で呟こうとした一言は、昇の口の中から発せられる事はなかった