41話
「良し、異常なし、と」
「……本当か?」
「ああ。あんな事があった夜だ。普通に悪夢を見たっておかしかねえ。大丈夫だ」
胸を張って会心の笑みを浮かべる昇を見て、肩に木刀を担いだ司影はほっと一息をつく。
「さってと、それじゃ帰るかな」
昇は手ぶらで(授業に必要な道具を持ってくる事は『メンドくせえ』と言って靴箱に入れっぱなし)、司影も木刀を肩から下ろし、鞄を持つ。
司影が木刀を持っているのは『魔力は、負けないって意思があれば大丈夫なんだろ、ようは』と言って部室から持ち出してきたものだ。刀身には『女ったらし撲滅刀』、その裏側には『殺・字久』という文字が彫刻刀で刻まれている。
「一人で部室まで木刀置きに行けるよな?」
からかい半分でそう言うと、
「えだぁ!」
「うるさい! オレは子どもじゃない!」
顔を真っ赤にし、グーで昇の頭を叩いていた。座り込んで頭を擦っていると司影はすでに部室に向かっている。
「いてて……んじゃ、先に帰ってるぞぉ!」
そう言うと昇は眼下の階段を下り始める。
(……何にせよ、何もなくて良かったぜ。『怨念』は一度、厄介な目にあってるからな